「見よ、世の罪を取り除く神の小羊だ。」
ヨハネによる福音書第1章29節
ヨハネによる福音書からのお話です。小見出しは「神の小羊」です。
洗礼者ヨハネが、自分の方に来られるイエス様のことを「世の罪を取り除く神の小羊だ」と言いました。自分の弟子たちへイエス様とはどのような方かを説明しました。
また、次のように説明しました。「わたしの後から一人の人が来られる。その方はわたしにまさる。」
洗礼者ヨハネがイエス様について説明した「神の小羊」という言葉は、イエス様につけられた呼び名です。イエス様についていろいろな呼び名があります。「メシア」、「神の子」、「救い主」、「キリスト」、その中でも「神の小羊」はとても意味がある言葉です。
昔、イスラエルの民がエジプトで奴隷であったとき、神様はイスラエルの民の嘆きの声を聞かれました。その時モーセを選び、イスラエルの民を奴隷の状態から解放するように導かれました。モーセはエジプトの王との最後の交渉の中で、イスラエルの民を解放しなければ、神様はエジプト中の初子を撃たれると伝えました。ただし、イスラエルの民には特別に、助かる方法を示されました。それは小羊の血を家の入口の二本の柱と鴨居に塗るようにというものでした。王はモーセの言葉を信じず、大きな悲劇が起こりました。その中で、イスラエルの民の初子は神様からの言葉を信じ、守られました。王はこのことにショックを受け、イスラエルの民をエジプトから出て行く許可を与えました。その後、モーセに導かれた民は約束の地に着くことになりました。
小羊の血を塗ることにより救われたイスラエルの民はこの出来事を記念し、過ぎ越しの祭として今も大切に守っています。
この出来事に関わったのが小羊です。イスラエルの民の代わりに小羊が犠牲としてささげられたのです。その犠牲によりイスラエルの民は救われました。
また、イエス様の時代に、エルサレムの神殿では、動物が罪のゆるしのためのいけにえとして、また、神様のへのささげものとしてささげられていました。その動物の中に小羊も入っていました。きずもなく、病気もしたことのない、特別な羊を神様にいけにえとしてささげました。そうすることによって、自分たちの犯した罪がゆるされ、罰を免れると信じていました。
イエス様が十字架にはりつけにされたことが、この小羊のささげものと関係しています。わたしたちを救うために、自らすすんで十字架にかかってくださいました。イエス様がご自身の命をささげられたことにより、わたしたちの罪が赦されたのです。
イエス様の働きは神の小羊としての働きだと言えます。自らの命をかけて、わたしたちの罪のために十字架にかかられました。イエス様がその命をかけて守りたいと思われたのが、わたしたちの命です。イエス様によって、わたしたちは大切な命をいただきました。神様の愛によって与えられた尊い命です。だれひとりその命を奪うことはできない大切なものです。わたしたちは、イエス様からこの大切なつとめを引き継きました。ゆえに、わたしたちにはこの世界にある命を守る責任があります。わたしたちにできることをしていきたいと思います。